医療報酬ファクタリングとは一体何?
ファクタリングは、法人あての入金の遅い売掛金がある場合、それをファクタリング業者が素早く買い取ってくれる、「借り入れ以外」の資金調達サービスです。
そのため借金ではありませんので、担保保証人不要、また審査も「柔軟」に行ってくれるのが大きな特徴です。
審査の結果も出るまでが早く、非常に早い現金化ができるのも大きな魅力です。(その際手数料を引かれた売掛金が入金されます)
ファクタリングにはいくつかの種類によるサービスを行っています。
3社間ファクタリング
医療報酬ファクタリング
調剤報酬ファクタリング
介護報酬ファクタリング
メインとなるサービスは、2社間と3社間になりますが、今回は医療報酬ファクタリングについての仕組みなど、詳しく調べてみたいと思います。
■医療報酬ファクタリングとは?
医療報酬ファクタリングは、病院やクリニックなどが、患者さんが加入している保険(国民健康保険・社会保険など)から受け取る医療費をファクタリング会社が買い取るサービスの事を言います。
これは建設業や製造業などの企業が3社間ファクタリングを利用する場合と似ている仕組みとなっています。
医療関係の経営者(病院・クリニック)がファクタリングを利用する時に医療報酬ファクタリングを行う事になります。
日本においては、病気をして診察・治療をしてもらった場合、通常医療費を保険を使って支払います。
その時患者さんは医療費の3割負担で支払っています。
病院やクリニックは、残りの7割を国保や建保・協会けんぽなどに請求しています。
しかしながら、残りの7割をレセプト審査(国保・建保)に申請しても、支払いが翌々月末として支払われますので支払期間(サイクル)が非常に長いのです。
3月に請求した場合は、5月末まで待たないといけません。
このように、医療関係は支払いサイクルが遅いため、資金繰りが厳しくなりやすいと言われています。
そのため、ファクタリングによって支払いの遅い診療報酬債権(医療報酬債権)をいち早く買い取ってもらい、資金繰りをスムーズにするように努める医療機関が少なくありません。
このように医療関係の経営者の方は、ファクタリングを利用する割合は多いです。
■医療報酬ファクタリングの仕組みは?
医療報酬ファクタリングの仕組みは、簡単に言うと3社間ファクタリングと似ていると言えます。
病院やクリニックがファクタリング会社と債権譲渡契約を結び、国保や社保(売掛先)に債権譲渡の通知を行います。
ファクタリング会社が短期間(平均3営業日から5営業日)で医療報酬債権の70%から80%程度を利用者(病院・クリニック)に入金します。
そして病院又はクリニックが国保・社保(売掛先)に医療報酬請求を行います。
その後国保・社保が請求月の翌々月に、「病院・クリニックにではなく、直接ファクタリング会社に入金」します。
次にファクタリング会社が残りの残額を利用者(病院・クリニック)に入金し、取引終了となります。
■なぜファクタリング会社は一度に入金しないのか?
病院・クリニックが医療報酬を請求した場合、レセプト審査と呼ばれる請求内容に不備がないか、または架空請求等がないかなどの審査が行われます。
もし不備や架空請求があった場合、医療機関に戻ってきてしまう可能性がありますので、そういったリスクがあるため最初は70%〜80%という掛目で買取ります。
そして最終的に支払われた後に残額を支払う仕組みとなっています。
すなわちファクタリング会社によるリスク回避のためです。
■医療報酬ファクタリングは3社間ファクタリングと似ているが・・・
医療報酬ファクタリングは3社間ファクタリングと似ていますが、3社間ファクタリングによって、売掛先(取引先)に売掛債権譲渡の通知を行うと、「資金繰りが厳しいのかな?」などと
、不安に思われて、信用度が低くなる可能性があります。
しかし医療報酬ファクタリングの場合、売掛先となるのは国保や社保などの公的機関が相手です。
そのため、医療報酬譲渡通知を行っても、国保や社保側が支払わないと断る事はあり得ません。
ですから、医療報酬ファクタリングを利用する病院やクリニックは気にすることなく国保や社保に売掛譲渡通知を出す事ができます。
また、民間企業で言う取引先(売掛先)が医療報酬ファクタリングでは国保や社保等の公的機関ですから、ファクタリング会社としても非常に安心して取引を行う事ができます。(国保・社保が倒産して医療報酬が入金されないリスクが極めてあり得ないため)
それゆえ、医療報酬ファクタリングの手数料は、民間企業のファクタリングよりも格安(0.5%〜2.0%)となっています。
■まとめ
医療報酬ファクタリングを利用すると、通常3か月も先になる医療報酬を、3営業日から5営業日の内に受け取る事ができるサービスです。
それによって、厳しい資金繰りも円滑になり、医師の給料や最新医療機器への支払いに回す事ができます。
医療報酬ファクタリングを利用する医療機関は、一度ではなく毎月継続的に利用するものが多くなっています。
診療報酬の債権譲渡を行う医療機関(ファクタリングを行う医療機関)は年々伸びており、ここ2年間の間に20%伸びている事もわかっています。
今後も医療報酬ファクタリングを利用して資金繰り対策を行う医療機関が増えていくことが予想できます。
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